2番目の入居希望者が現れたけど、なかなか賃貸契約まで進まない。

賃貸契約

家賃を理想の利回りのギリギリまで落として、早くも1週間が過ぎましたが、問い合わせがありません。

物件の中身を見てもらえれば、絶対気に入ってもらえる自信があるのですが、見てもらわないことには始まりません。

家の外で作業をしていると、近所のおじいちゃんが、

「あんたの家のことについて尋ねている人がいたよ。連絡先を知りたがっていたよ。」

と教えてくれました。

また、町会長さんも、

「あんたの家を見ながら、誰がやっちょるんじゃろうかねぇ。」と言ってたよ。

「張り紙でもしといたら?」

と教えていうれました。

張り紙

近所のおじいさんと町会長さんの話を聞いて、不動産会社を通しての入居希望者がなかなか現れないので、物件に直接、手書きの張り紙をすることにしました。

「貸家」「入居者募集中」「大家直通 080−1234−5678」

下手くそな字ですが、一生懸命書きました。

電話連絡

すると、熱意が通じたのか、その日の夜に一本の電話が入りました。

「張り紙を見たんですけど、」歳をとった女性の声でした。

「貸家をしているっていうことで、間違い無いですかね。娘夫婦に住まわせたいんだけど。」

「大丈夫、ウチのじいちゃんはあの有名企業に勤めていた人間だから、家賃の滞納なんかしないから!」

ガンガン、バシバシ、言いたいことを言って、話を進めたがっているばあちゃんでした。

若干、人の話を聞かないところがあったものの、内心、

おおっ!!張り紙の効果は抜群じゃないか!もっと早く張り紙をしておけばよかった。と、早速、物件の問い合わせが入って、私は嬉しくなり、少々、無作法なばあちゃんも許しました。

その日は屋根の塗装をして、結構、ヘトヘトに疲れていましたが、初めて入居希望者から直接電話を受けて、その日の疲れは吹っ飛びました。

直に反応が得られるのって、いいですね!

「ああ、お電話ありがとうございます。はい、まだ募集中です。」と元気よく答える私。

「内覧ですか。大丈夫ですよ!いつでもいらしてください。」と、その日のうちに内覧のアポを散りました。

入居希望者の内覧

約束の日の夜、おばあちゃんとおじいちゃん、若い夫婦とその子供たち2人、合計6人が訪問してきました。

入居希望の旦那さんは、仕事の後に来てくれたようでした。ちょっと、疲れている様子です。

その日も私は細々としたリフォームを行って、それなりに疲れはあったものの、せっかくの入居希望者の方が来てくださるとのことで、満面の笑みで受け答えをしていました。

二人の子供たちは、一軒家でテンションが上がって、早速、追いかけっこが始まっていました。ちっちゃい子供たちって、かわいいなぁ。

あんまりはしゃいでいたので、怪我をしないかちょっと心配になりました。

一通り、部屋を案内して、条件について話をするとき、ばあちゃんが開口一番。

「不動産業者を通すと手数料を取られるから、嫌なんだけど。」

「は?はぁ。」と私、想定外の申し出に戸惑う私。

「ちょっと、調べさせてください。想定していませんでしたので、調べるお時間をください。」

とその場をやり過ごしました。

というのも、家賃保証会社をつけて入居してもらいたいと思っていたので、大家が個人で家賃保証会社に依頼できるかどうか分からなかったからです。(後日、調べてみると、会社によっては不動産会社からの申し込みしか受け付けていないという会社と、オーナーが直接事務手続きをして保証してくれる会社があることがわかりました。)

旦那さんと話をしていると、またあのばあちゃんが横から口を出そうとします。

娘さんは見かねてばあちゃんをたしなめられていました。

娘さんにたしなめられて、ちょっとおとなしくなったばあちゃんは、小さく見えました。

「ちょっと、かわいそうかな」とも思いました。が・・・、 

突然の訪問

次の朝、私が作業をしていると、玄関のチャイムがなります。

誰だろう?宅急便?今日は荷物が届く予定はないけどな?と思いながら、モニターを覗くと、昨日のばあちゃんでした。

「ちょっと、昨日話すのを忘れてしまったことがあるから、話がしたいんじゃけど。」

まあ、このばあちゃんが店子さん候補者を連れてきてくれたので、忙しい手を止めてでも話を聞かなければなりません。

玄関のドアを開けると、

「ちょっと、ええかな。」

と言って、家にあがろうとします。ばあちゃんはマスクを忘れてきたというので、私の予備のマスクをあげました。

家に上がると私のスリッパを履こうとします。

「いやいや、ばあちゃん、これ私のだから、ごめんね。」というと、

「ああ、そうか、そうか。はいはい。」

っで、早速、

「トイレどこだっけ?」

トイレを案内すると、

「タオル掛けはどこにあるの?」

「はい、ここですよ。」と、私。

「ああ、ならええな。ほいたら、お風呂場はどこかいね?」

風呂場を案内すると、

「ああっ、やっぱり!

ここと、ここに、タオル掛けをつけてもらいたいんじゃけど。」

「あんたぁ、昨日、なんでも相談してなって、言いよったやろ。」

「男の人には分からんやろうけど、こことここにタオルかけがないと、いつでも足拭きマットが濡れたままで不衛生やろ。」

「ああ、分かった、じゃあ、これに足拭きマットをかけるから、ええわ!」と、私がフェイスタオルを干すために取り付けているタオル掛けをベタベタ触りながら言うばあちゃん。実際、私のフェイスタオルが掛かっている。

私は若干潔癖症のところがあるので、フェイスタオルを他人に触ってほしくない。

しかも、どう見てもフェイスタオルを掛けるためのタオル掛けに足拭きマットを掛けようと言い放つ姿は、なんとも、図々しい。はっきり言って、こう言う人は好きじゃない。

さらに、ばあちゃんの要求は続く、

「それから、雨の日に外に洗濯物が干せんから、この脱衣所のところに上からこうやって掛けられるようにな、こうやってな。こんなんな。こうつけてな。これだけは、絶対にやってもらわんと!!!」

「はぁ、なるほど」と、返事をしている私に対して、

「ああ、もう!!!ちょっと、家まで見にきてくれんかな。すぐそこやから!」

めちゃくちゃ強引なばあちゃんだな。

私は今日中に仕上げる仕事があるので、朝から忙しくしているのに、家に上がり込むなり、自分の言いたいことをまくし立てる。

なんか、面倒だな、この人・・・

ばあちゃんはマシンガンのように喋りまくる。私はすっかり気後れしていましたが、我に返って、まだ契約も何もしていないのになんだんだろうなこのばあちゃんは、と思い、

「ちょっと待って、考えておくけど、まだ私たちは契約もしてないよ。」

「見にいくのは分かったから、見にいくよ。準備するから、ちょっと待ってな。」

作業途中だったので、換気のために家の戸を全部開けていたので、それを施錠して急いで出かける準備をしました。

とにかくうちに来てみてくれ!というので行ってみると、

確かに、ばあちゃんの家は近かった。

歩いて3分くらい。この距離に実の娘が住んでくれたら、そりゃ心強いだろうね。

それで、ばあちゃんの家について、ちょっとびっくり。立派な日本家屋で、庭も家も手入れが行き届いている。

広い玄関で靴を脱いで、促されるままにばあちゃんの家の脱衣所にたどり着くと、タオル掛けが設置してあった。

雨の日に部屋干しするというタオル掛けは下地にしっかり固定してあった。

せっかく綺麗にした部屋に穴を開けたくないなぁ。という気持ちはあったが、

「なるほどね、わかりました。こんな風につけて欲しいんですね。」と理解したことを告げ、さらに私はちょっと勘違いしているばあちゃんを諭します。。

「お母さんの言いたいことは、分かったよ。考えておくね。でもね、まずは契約が先だよ。」

「契約っていうのは、お互いが納得して結ぶもんだからね。」

「ちょっと、考えさせてね。」

「それから、結構、ギリギリで貸しに出しているから、あれもこれも付けられないかもしれない。」と、私、

すると、

「なんなら、私が工事費を出すから、絶対付けて!!!」

「うん、やって欲しいことは分かったよ。大丈夫だよ。」

とだけ告げて、ばあちゃんの家を後にしました。

もうね、めちゃくちゃ疲れました。

プチリフォーム

やれやれ、やることが山積みの中、またやることが増えてしまった。

でも、ばあちゃんが行っていることも一理あると思い直し、20分かけてホームセンターまでチャリを漕いで、買い物を済ませて、浴室内にタオル掛けを一つ取り付けました。

その日の夜、若い夫婦の旦那さんが駐車場の大きさを確認したいんだけど、車を入れて試してみてもいいかな?という連絡が入ったので、いつでもOKと応えた。

駐車場の大きさを確認

さらに、次の日、お昼ご飯を買いに出かけて帰ってみると、大きな車が駐車場に見えました。

なんだろうと思っていると、若い夫婦が駐車場の確認をしにきていたようでした。

奥さんは留守中にすまないと謝ってきて、ばあちゃんとは違って、若い夫婦には図々しさがない。

でも、残念ながら我が家の駐車場は小さくて、5ナンバーのワンボックスで駐車場はパツンパツンになってしまっていた。

幅が狭い駐車場のため、駐車場に収めようとすると、ドアを開くスペースがありませんでした。

ドアを開くスペースを確保するためには、車が4分の1ほど歩道にはみ出してしまった状態です。

旦那さんは渋い顔をしていました。

元々、旦那さんは物件が気に入っていたわけでもなかったようでした。

内覧の日、

「もう、物件探しに疲れたから、ここでいいや。」と言い、半分投げやりだったことを思い出した。

第三の入居希望者が現れる

若い夫婦が内覧に来た後に、不動産仲介会社から連絡がありました。

入居希望者が現れて、現在家賃保証会社の審査を受けているとのことでした。

不動産会社にお礼を言って、その入居希望者は2番手になることを告げました。

この時に2番手ですよ。と言った時の気持ちよかったことと言ったら、忘れられません。

おおっ!なんだか、運が向いてきたぞ!!

行列のできる賃貸物件!!私が憧れたフレーズです(^^)

さて、直接オーナーが家賃保証会社に家賃保証をお願いすることができる会社が見つかって、その手配をしようと書類を読み込んでいくと、色々と入居者さんの情報を集めなくてはなりませんでした。

例えば、

現住所、生年月日、性別、配偶者の有無、勤務先名称、住所と電話番号、勤務先の資本金、年収、勤続年数、入居予定者の氏名と年齢、緊急連絡先などなどまだまだあります。

不動産業者を通していれば、こんなことは全て不動産業者がやってくれるんですが、ばあちゃんが不動産業者を通したら、金がかかるからやりたくないというので、私がやらなければなりません。

そこで、私が上記の情報が必要だと若い夫婦の旦那さんにメッセージを送るのですが、

反応が悪い

何時間たっても連絡がありません。

休みの日を1日潰して色々調べて連絡しているんだけど、反応が悪くなんだか、私だけ頑張っていて、アボらしくなってきました。

家賃保証会社の手続き連絡。どうします?

結局、連絡がないまま、夜になってしまったので、こちらから旦那さんに電話しました。

「お世話になります。貸家の件で連絡したのですが、保証会社を通すために色々と情報をもらわなくてはいけないんですが、協力してもらえますでしょうか。」と、私。

「・・・。」旦那さんは、しばらく無言。

「あのー、実は他にも借りたいという人が出てきまして、その、数日中にお返事をしなくれはならず、先日、駐車場を確認していただいたので、その印象はどうでしたか?借りますか?どうしますか?」

と多少、強気に尋ねました。

というのも、ばあちゃんの件でムカついていた私は、ばあちゃんとこの先何年も付き合うのは、正直嫌気がさしていたので、断られてもいいや、というつもりで質問すると、

「私たち以外にも借りたいという人が現れたんですね。」

「そうです。」

「妻と話して、お答えします。」

と言って、一旦電話を切った後に、断りの電話をかけてきました。

私は電話をしてくれたことに対してお礼を言い、電話を切りました。

なんだか、胸のつかえが取れたような、気がしました。

結果

せっかく現れた第二の入居希望者でしたが、先方から断られて、不思議と心が軽くなりました。

頭では家賃が欲しくてたまらなかったんですが、心はそうではなかったということですね。

本来、商売は対等の立場であるべきだと思うので、お金は欲しいけれども、心の健康のためにも、これからはもっと自分の心に正直に取引を進めたいと思いました。

目先のお金が欲しくて、変な人を入居させて、トラブル続きだと本業にも支障をきたすかもしれないですしね。

このエピソードがこれから大谷さんを目指す人の参考になれば幸いです。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

それでは、また。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です